Classici giapponesi con furigana
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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Leggi 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) di 久坂 葉子 (くさかようこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 59.103 caratteri · 121 schermate
二十分も待った。足音をきく。顔を見合せた時、私は何故かしら今まで云おうとしていたことが浮んで来ず、唯「おはよう」と声をかける。そして四五段かけ上り彼より一段下の石の上にたった時、私は思わず彼の腕をつかまえてしまった。(予期しない行為であった)そして口早に、
「ねえ、お願い、お願い、今日、家でおききになること承知なさんないでね、お願いよ」
そして云うが早いか彼をかべの方へ押しつけ、するりと上へかけのぼり、後もみずにはしり走った。
夕刻、私と姉は玄関に並び彼を迎える。私のまなざしと彼のそれとが軽くふれた時、私は又、懇願した。
父がどう喋ったのか、どんな返事をきいたのか、平然と彼が帰ってしまった後で、私達は矢継早に、父にきいた。
「笹田さんはね、きまって居なさるそうだ。養子に行きなさるのだと。今月一ぱいでここをやめて、O市のH病院へ行きなさるんだ。何か、やっぱり御医者さんの娘さんですと。仕方がないさね。笹田さんにしたって養子に行きなさるのは最もいいでしょう。何といっても今独りではやって行けんからね」
一晩、姉がすすり泣くのをきいた。私が勝ちほこったような気持になったのはほんの一時で、目前の別れのことで一ぱいだった。