Classici giapponesi con furigana
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いようへん
影を踏まれた女
岡本 綺堂
Leggi 影を踏まれた女 (いようへん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.110 caratteri · 46 schermate
梶井もその一人で、かれは二十二の秋、吉原のある貸座敷で娼妓とモルヒネ心中を遂げてしまった。ひとり息子で、両親も可愛がっていたし、金に困るようなこともなし、なぜ心中などを企てたのか、それがわからない。しいていえば、病身を悲観したのか。あるいは女の方から誘われたのか。まずそんな解釈をくだすよりほかはなかった。
僕が梶井の家へ悔みに行くと、彼の母は泣きながら話した。
「なぜ無分別なことをしたのか、ちっとも判りません。よくよく聞いてみますと、その相手の女というのは、以前この屋敷に住んでいた本多という人の娘だそうです。沼津へ引っ込んでから、いよいよ都合が悪くなって、ひとりの娘を吉原へ売ることになったのだということですが、せがれはそれを知っていましたかどうですか。」
「なるほど不思議な縁ですね。梶井君は無論知っていたでしょう。知っていたので、両方がいよいよ一種の因縁を感じたという訳ではないでしょうか。」と、僕は言った。「それにしても、梶井君が家を出て行くときに、今から考えて何か思いあたるような事はなかったでしょうか。わたくしなどは本当に突然でおどろきましたが……。