Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
りつことさだこ
律子と貞子
Leggi 律子と貞子 (りつことさだこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5325 caratteri · 11 schermate
船津でおわかれする時にも、だまって降りてしまうのよ。私は、それでなくちゃ、いや。」律子は用心深い。
「それで結構。」と三浦君は思わず口を滑らせた。
バスが来た。約束どおり三浦君は、姉妹とは全然他人の振りをして、ひとりずっと離れて座席にすわった。なるほど、バスの乗客の大部分はこの土地の人らしく、美しい姉妹に慇懃な会釈をする。どちらまで? と尋ねる人もある。
「は、船津まで、買い物に。」律子は澄まして嘘を吐いている。完全に、三浦君の存在を忘れているみたいな様子だ。けれども、貞子は、下手くそだ。絶えず、ちらちらと三浦君のほうを見ては、ぷっと噴き出しそうになって、あわてて窓の外を眺めて、笑いをごまかしている。松の並木道。坂道。バスは走る。
船津。湖水の岸に、バスはとまった。律子は土地の乗客たちに軽くお辞儀をして、静かに降りた。三浦君のほうには一瞥もくれなかったという。降りてそのまま、バスに背を向けて歩き出した。貞子は、あわてそそくさと降りて、三浦君のほうを振り返り振り返り、それでも姉の後に附いて行った。
三浦君のバスは動いた。いきなり妹は、くるりとこちらに向き直って一散に駈けた。