Classici giapponesi con furigana
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こころのかわ
心の河
宮本 百合子
Leggi 心の河 (こころのかわ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.442 caratteri · 37 schermate
判ったでしょう? 心のことよ。心直接感じるべきことなのよ!」
「じゃあ堂々廻りで結局、僕に云っても駄目だということじゃあないか!」
保夫は、さよの胸を一杯にした冷やかな事務家的態度を示した。彼女は、辛うじて自分の涙もろさに打ち勝った。
「私は、駄目だと云って澄していられないのよ! 二人で生きて行くのなら、生きてゆくようにして行きたいのです。だから――」
「ね、さよ」
保夫は、煙草を灰皿の上に揉み消し、熱くなってつめよるさよを遮った。
「生活の幸福というようなものは、愛と同じで、一種の信仰だよ。信仰次第でどうともなる。――君なんか、まだまだ生活がどんなものだか知らないのだ。……君だって僕の愛だけは、信じられるだろう? それがお互の生活の万事ではないか」
彼は、何か云おうとするさよの手を執った。そして、
「さあ、理窟はやめて、可愛いさよにおなり」
と云いながら、彼女をひきよせて愛撫しようとした。彼女は、赧くなって、遂に涙をこぼした。
「そういう風に片づけては駄目。――貴方は、狡いわ!」
彼女は、手を引こめて、きちんと坐りなおした。
「私だってお互が大切だと思うからこういうことも云い出すのです。