Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いかりのむし

怒りの虫

豊島 与志雄

Leggi 怒りの虫 (いかりのむし) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.457 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

意識が中断し、時間も停止し、何をどうしたか判然とせず、いつ自宅に帰ったかも分らず、翌朝遅く眼を覚して、初めて人心地がついた。

木山は朝から酒を飲んだ。夜明け頃ふと眼を覚して、ぐっしょり寝汗をかいていたのに、気持ちを悪くしていたし、起き上って顔を洗う時、洗面所に歯磨粉が散らかっていたので、女中を叱りつけ、叱りつけたことで却って気持ちを悪くしていた。そして酒を飲みながら、顱頂部に汗がにじんできたので、気持ちは少しも直らなかった。

そこへ、八重子夫人が下らない話を持ち出してきた。

彼女は元来体が弱く、消化不良に悩んでいた。医者にかかるほどではなく、売薬で間に合せていたが、近来、按摩を毎日のように呼んでいた。いつもきまった按摩で、眼も見え、わりに小綺麗な中年の女だった。その按摩が、昨日は差支えあって、代りに婆さん按摩が来た。その婆さんの話である。

奥さまはなるほど胃がお悪うございますねと、仔細に首を傾けながら、胃病の症状を幾つか話した。その中で、一つへんなのがあった。もう六十あまりの老夫人で、長年胃病に悩み、あちこちの医者にかかったが、どうしても治らなかった。