Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

Leggi 思い出す事など (おもいだすことなど) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.003 caratteri · 113 schermate

Aozora Bunko

十六

一足飛びに片方から片方に落ち込むような思索上の不調和を免かれて、生から死に行く径路を、何の不思議もなく最も自然に感じ得るだろう。俄然として死し、俄然として吾に還るものは、否、吾に還ったのだと、人から云い聞かさるるものは、ただ寒くなるばかりである。

縹緲玄黄外。 死生交謝時。 寄託冥然去。

我心何所之。 帰来覓命根。 杳※(「穴かんむり/目」、第3水準1-89-50)竟難知。

孤愁空遶夢。 宛動粛瑟悲。 江山秋已老。

粥薬※(「髟/眄のつくり」、第4水準2-93-21)将衰。 廓寥天尚在。 高樹独余枝。

晩懐如此澹。 風露入詩遅。

十六

安らかな夜はしだいに明けた。室を包む影法師が床を離れて遠退くに従って、余はまた常のごとく枕辺に寄る人々の顔を見る事ができた。その顔は常の顔であった。そうして余の心もまた常の心であった。病のどこにあるかを知り得ぬほどに落ちついた身を床の上に横えて、少しだに動く必要をもたぬ余に、死のなお近く徘徊していようとは全く思い設けぬところであった。眼を開けた時余は昨夕の騒ぎを(たとい忘れないまでも)ただ過去の夢のごとく遠くに眺めた。そうして死は明け渡る夜と共に立ち退いたのだろうぐらいの度胸でも据ったものと見えて、何らの掛念もない気分を、障子から射し込む朝日の光に、心地よく曝していた。