Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Leggi 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.840 caratteri · 88 schermate

Aozora Bunko

すると泰助は悠然として、睫毛一本動かさないといった顔で、津留のほうを静かに見て答えた。

「――しかしですね、それは、ええ……それはつまり、泰三のことをですね、心配していらっしゃる、ということになるわけですか」

津留はひっちゃぶいてやりたいというような眼をした。けれども相手には通じはしなかった、泰助は依然として静ウかな調子で云った。

「――もしもそうならばですね、それは寧ろ私は反対だと思うんです」

「反対とはなにがですの、どこのなにが反対だと仰しゃるんですか」

「――つまりです、つまり私はですね、寧ろ相手の人たち、その決闘の相手の人たちのほうがずっと心配だと私は思うんです」

「では泰三さまは負けないと仰しゃるんですか」

「――泰三がですか、ええもちろんです、それで江戸でもみんな手を焼いたんですが……しかしですね、殿さまから厳しいお叱りを受けて来たんですから、まあこんどは、……こんどくらいはですね、あまりひどい事はやらないだろうと思うんです」

右衛門はまたしても喰べかけの茶碗と箸を置いて、「それは本当か、その泰三が強いということは」と泰助のほうを見た、「――七八人も相手にして、本当に彼は負けないというのか」