Classici giapponesi con furigana
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あやしきたびそう
怪しき旅僧
田中 貢太郎
Leggi 怪しき旅僧 (あやしきたびそう) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2374 caratteri · 5 schermate
旅僧はこれを見て何か顎で合図をすると、其の人形は手に手に鍬を揮って室の中を耕しはじめた。そして、それが終ると何処からともなく水が来て、室の中は立派な水田になった。で、人形どもはそれに籾を蒔いた。籾はみるみる生えて、葉をつけ茎が延びて、白い粉のような花が咲き、実が出来て、それが黄ろく熟した。人形どもは鎌でそれを刈りとって穂をこき、籾をつき、それを箕にかけてまたたくまに数升の米にした。
人形どもの仕事が終ると、旅僧は大きな口をぱくり開けて、それを掻き集めて一口に飲んでしまった。そして、庭の方を向いて、「来い来い」と云うと、庭の片隅の竈にかけてあった鍋と、水を汲んである手桶がふらふらと歩くように旅僧の傍へ来た。
で、旅僧は其の鍋の中へ米と水を入れて、地炉の自在鉤にかけた後で左右の足を踏み延ばして、それを炉縁に当て何時の間にか傍に来ていた鉈で、膝節から薪を割るようにびしゃびしゃと叩き切って、其の切れを地炉の中にくべると、火が盛んに燃えだして鍋の飯が煮立って来た。旅僧は膝節から下が切れて血みどろになった足を平気で投げだして火をみていたが、やがて飯ができると鍋をおろして手掴みで喫いはじめた。