Classici giapponesi con furigana
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あやしのもの
怪しの者
国枝 史郎
Leggi 怪しの者 (あやしのもの) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.259 caratteri · 25 schermate
しかしわたしは遠慮しませんでした。大声で言ってやりました。
「今だ、お小夜坊、やっつけな!」
九
途端に「あッ」という悲鳴が起こり、刀をふりかぶったまま、鶴吉は躰を捻りましたが、やがて、よろめくと、ドット倒れました。脇腹から血が吹き出しています。
「わーッ」という声が湧き上がりましたが、これは船大工や藩士の方々が、思わずあげた声でした。でもその声はすぐに止んで、気味悪くひっそりとなってしまいました。
血にぬれた懐剣をひっさげて、駕籠の垂れを刎ねてお小夜坊が、姿を現わしたからです。
お小夜坊ではなくてお柳でした。
はじめて人を斬ったのでした。お柳の顔色はさすがに蒼く、その眼は血走っておりましたが、それだけにかえって凄艶で、わたしとしましてはお柳という女を、この時ほど美しいと思ったことは、ほかに一度もありませんでした。お柳はわたしを見やってから、船大工たちへ言いましたっけ。
「皆様ご安心なさいまし、お小夜様は妾がお助けして、この林の奥の、藪蔭にお隠しして置きました」
歓喜の声をあげて、船大工たちが林の奥へ走って行ったのは、いうまでもないことでございます。