Classici giapponesi con furigana
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あやしのもの
怪しの者
国枝 史郎
Leggi 怪しの者 (あやしのもの) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.259 caratteri · 25 schermate
……どうしたものかと、思案しいしい歩いていますうちに、こんなところへ来ましたんで。……そこでぼんやり川を眺めて……」
「大工、そうか、手を見せろ」
「手を? なんで? なんで手を?」
「大工か大工でないか調べてやる」
「…………」
「大工なら鉋だこがあるはずだ」
「…………」
「これ手を出せ、調べてやる。……此奴手を懐中へ入れおったな!」
「斬れ!」
とその時烈しいお声で、宗春様が仰せられました。
「あッ」
これはわたしが言ったのです。
ご家来が編笠をうしろへ刎ね、抜く手も見せず、職人風の男の右の肩を、袈裟がけにかけたからで。
職人風の男は倒れました。でもそれは斬られて倒れたのではなくて、太刀先を避けて倒れたのです。
「汝!」
と西条勘右衛門様は――そう、編笠が取れましたので、そのご家来が尾張の藩中でも、中条流では使い手といわれる、西条様だということがわかりましたが、そう仰せられると、踏み込み、刀を真向にふりかぶり、倒れている職人風の男の背をめがけ、お斬りつけなさいました。
が、その途端に土と小石と、むしられた草とがひとつになって、バッと宙へ投げ上げられ、つづいて烈しい水音がして、職人風の男は見えなくなってしまいました。