Classici giapponesi con furigana
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あやしのもの
怪しの者
国枝 史郎
Leggi 怪しの者 (あやしのもの) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.259 caratteri · 25 schermate
川へ飛び込んで逃げたのでした。
三
二度目にこの男と逢いましたのは、それから三日後のことでありまして、名古屋お城下は水主町、尾張様御用の船大工の棟梁、持田という苗字を許されている八郎右衛門というお方の台所口で。
燈ともしころのことでありまして、わたしはその日、そのお宅へ、物乞いに参ったのでございます。それまでにも再々参ったことがありまして、そのお宅はいわばわたしにとりましては、縄張りの一つだったのでございます。ご主人様がご親切だからでございましょうが、下女下男までが親切で、わたしの顔を見ますると「勢州が見えたから何かやりな」と、面桶の中へ、焚きたてのご飯などを、お入れ下さるのでございます。さてその日も、ご飯を頂戴いたしましたので、台所口から出て、塀に添って往来の方へ歩いて行きました。すると行く手から、一人の男がやって参りましたが、お台所ちかくまで参りますと、にわかに呻き声をあげて、地へ倒れたではございませんか。驚いてわたしは引き返し、その男の側へ参り、顔を覗きこみましたところ、例の男だったのでございます。
(さてはこの男ここでまた一芝居を……)