Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふのくちぶえ

恐怖の口笛

海野 十三

Leggi 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.713 caratteri · 122 schermate

Aozora Bunko

「ああ、一郎さん、助けてエ――」

「曲者、なにをするかア、――」

青年は西一郎だった。彼はジュリアに返事をする遑もなく、彼に似合わしからぬ勇敢さをもって、いきなり痣蟹の背後から組みついた。

「なにを生意気な小僧め!」

痣蟹は落ちつき払って一郎を組みつかせていた。

「ジュリア、いまに思い知るぞオ」

という声の下に、彼はエイッと叫んで身体を振った。その鬼神のような力に、元気な一郎だったが、たちまちと振りとばされてしまった。

「さあ皆で懸れ、警官隊も来ているから、大丈夫だ」と声を聞きつけて、応援隊が飛びこんで来た。痣蟹は警官隊と聞くと舌打ちをして、入口に殺到した劇場の若者を押したおし、廊下へ飛びだした。アレヨアレヨという間に、階段から下へ降りようとしたが、下からは駈けつけた大江山課長等がワッと上ってきたのを見ると、

「やッ」

と身を翻してそこに開いていた窓を破って屋上へ逃げた。

「それ、逃がすなッ」

一同はつづいて、屋上に飛び出した。痣蟹は巨大な体躯に似合わず身軽に、あちこちと逃げ廻っていたが、とうとう一番高い塔の陰に姿を隠してしまった。

「さあ、三方から彼奴を囲んでしまうのだ。