Classici giapponesi con furigana
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きょうふのまぼろしへいだんいん
恐怖の幻兵団員
大倉 燁子
Leggi 恐怖の幻兵団員 (きょうふのまぼろしへいだんいん) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.784 caratteri · 28 schermate
主人は大変に臆病になりましてね、以前は至って元気な人でしたが、シベリアから帰りましてからは、まるで人間が変ったように怖がりやになって、毎晩寝る前には自分で部屋の戸締りを一つ一つ見て歩き、これで大丈夫だと安心がゆかなければ眠れなかったんですよ。それだのに、あの朝は窓を開けッ放したまま、出かけたんですから、呆れますわ」と云いながら、
「さあ、どうぞ、お上り下さいませ」
玄関の方へ行きかけるので、
「私はお庭を一応検べてから、あとでまいりますから」
「ではお茶のお支度でもしておきますから先生、お調べがすんだら、直ぐいらして下さいね」
私は窓の下に立って注意深く地上を見た。一週間も過ぎているので、よくはわからないが、乱れた靴のあとがあって、その中に小型のラバソールが交っているのがはっきり見えた。足跡についてぐるりと廻わると建物のうしろの裏門へ出た。裏門の扉には厳重な鍵がかかっていて、久しく開けないと見え、錠は錆ついていた。
門柱につづいた古い板塀はところどころ破れて、犬でも出入りしたらしい大きな孔があって、孔のまわりの羽目板はがばがばにゆるんでいる。手で押すとかなり大きく開いて、大人が屈んでくぐれる位に毀れていた。