Classici giapponesi con furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate
「アア俺の思い違いだった。泥棒を紳士扱いして、度量を見せたのが、飛んでもない失策だった」
布引氏は大人げない失敗に苦笑しながら立上った。幸どこにも危害を加えられた様子はない。命丈けは助けてくれたのだ。
彼は手さぐりで、縁側に出て雨戸を開けた。兎も角、こう暗くては、自分の身のまわりを見ることも出来なかったからである。
一枚二枚雨戸をくると、曇り日ではあったが、まぶしい程の明るさが、室内にさし込んだ。
布引氏は、振り向いて座敷を眺めた。
と、彼はギクンとして、そこへ棒立ちになってしまった。
彼は、まだ麻睡の夢が醒め切らぬのではないかと疑った。
何がかくも布引氏を驚き恐れしめたのか。読者はとっくに御存知だ。そこには世にも奇怪なる男女の情死体が重なり合って倒れていたのである。
下になっているのは、照子さんの長襦袢一枚の姿だ。その上にのしかかって絶命しているのは、昨朝別れたままの鳥井青年だ。
成程、賊は嘘は云わなかった。この部屋には確かに照子さんがいた。もう一人「よくご存知の男」もいた。併し、二人とも絶命してだ。
布引氏は、あっけにとられて、不思議な情死者をマジマジと眺めていた。