Classici giapponesi con furigana
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きょうぞうのちち
恭三の父
加能 作次郎
Leggi 恭三の父 (きょうぞうのちち) di 加能 作次郎 (かのうさくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9742 caratteri · 20 schermate
恭三は酔うた父に対すると常に一種悲痛な感を味うのであった。今父が恭三に足を洗えと言ったが、全く彼に洗わす積りで言ったのでなかろうとは思つたものの、此の場合にうまくとりなすには如何してよいか一寸分らなかった。
「私は弟に頼んだんです。浅七、おれの代理をつとめて呉れよ。」と彼は深く考えもせずに言った。
これを聞いて父は大に満足したという風であった。
「そうか/\、そんなら宜い。」
こう言つて妙な声で唄い出した。
足を洗ってからも尚お暫く父は上らなかった。
「さあ、宜い加減にして上ろうぞ。」と母はお膳を並べた。
皆膳に向った。けれども父は如何にしても箸を取ろうとはしなかった。
「恭三、お前は己の帰るのを飯も食わずに待って居ったのか。」
「え。」
「浅七もか?」
「あい、待って居ました。」
「そうか、よく待って居った。さあ己りゃ飯を食べるぞ、いゝか。」
「さあ一緒に食べんかいねえ。」と母は箸箱を手に取った。
父は「ふふーむ。」と笑って居てなか/\膳に向わなかった。囲炉裏に向って、胡座の膝に両手をさしちがえて俯向き加減になって、つまった鼻をプン/\言わせて居た。酒に酔うと何時でも鼻をつまらせるのが癖であった。