Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あくじゅうへん

悪獣篇

泉 鏡花

Leggi 悪獣篇 (あくじゅうへん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.715 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

「や、風説きかぬでもなかったが、それはまことでござるかいの。」

「おいのおいの、こんな難有い奇特なことを、うっかり聞いてござる年紀ではあるまいがや、ややお婆さん。

主は気が長いで、大方何じゃろうぞいの、地蔵様開眼が済んでから、杖を突張って参らしゃます心じゃろが、お互に年紀じゃぞや。今の時世に、またとない結縁じゃに因って、半日も早うのう、その難有い人のお姿拝もうと思うての、やらやっと重たい腰を引立てて出て来たことよ。」

紅糸の目はまた揺れて、

「奇特にござるわや。さて、その難有い人は誰でござる。」

「はて、それを知らしゃらぬ。主としたものは何ということぞいの。

このさきの浜際に、さるの、大長者どのの、お別荘がござるてよ。その長者の奥様じゃわいの。」

「それが御建立なされるかよ。」

「おいの、いんにゃいの、建てさっしゃるはその奥様に違いないが、発願した篤志の方はまた別にあるといの。

聞かっしゃれ。

その奥様は、世にも珍らしい、三十二相そろわしった美しい方じゃとの、膚があたたかじゃに因って人間よ、冷たければ天女じゃ、と皆いうのじゃがの、その長者どのの後妻じゃ、うわなりでいさっしゃる。