Classici giapponesi con furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Leggi 悪獣篇 (あくじゅうへん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.715 caratteri · 73 schermate
もう船が岩の間を出たと思うと、尖った舳がするりと辷って、波の上へ乗ったから、ひやりとして、胴の間へ手を支いた。
その時緑青色のその切立ての巌の、渚で見たとは趣がまた違って、亀の背にでも乗りそうな、中ごろへ、早薄靄が掛った上から、白衣のが桃色の、水色のが白の手巾を、二人で、小さく振ったのを、自分は胴の間に、半ば袖をついて、倒れたようになりながら、帽子の裡から仰いで見た。
二つ目の浜で、地曳を引く人の数は、水を切った網の尖に、二筋黒くなって砂山かけて遥かに見えた。
船は緑の岩の上に、浅き浅葱の浪を分け、おどろおどろ海草の乱るるあたりは、黒き瀬を抜けても過ぎたが、首きり沈んだり、またぶくりと浮いたり、井桁に組んだ棒の中に、生簀があちこち、三々五々。鴎がちらちらと白く飛んで、浜の二階家のまわり縁を、行きかいする女も見え、簾を上げる団扇も見え、坂道の切通しを、俥が並んで飛ぶのさえ、手に取るように見えたもの。
陸近なれば憂慮いもなく、ただ景色の好さに、ああまで恐ろしかった婆の家、巨刹の藪がそこと思う灘を、いつ漕ぎ抜けたか忘れていたのに、何を考え出して、また今の厭な年寄。