Classici giapponesi con furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Leggi 悪獣篇 (あくじゅうへん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.715 caratteri · 73 schermate
「ござれ、洲の股の御前、」
といって、坂下の姉様、夫人の片手を。
洲の股の御前も、おなじく傍から夫人の片手を。
ぐい、と取って、引立てる。右と左へ、なよやかに脇を開いて、扱帯の端が縁を離れた。髪の根は髷ながら、笄ながら、がッくりと肩に崩れて、早や五足ばかり、釣られ工合に、手水鉢を、裏の垣根へ誘われ行く。
背後に残って、砂地に独り峡の婆、件の手を腰に極めて、傾がりながら、片手を前へ、斜めに一煽り、ハタと煽ると、雨戸はおのずからキリキリと動いて閉った。
二人の婆に挟まれ、一人に導かれて、薄墨の絵のように、潜門を連れ出さるる時、夫人の姿は後ざまに反って、肩へ顔をつけて、振返ってあとを見たが、名残惜しそうであわれであった。
時しも一面の薄霞に、処々艶あるよう、月の影に、雨戸は寂と連って、朝顔の葉を吹く風に、さっと乱れて、鼻紙がちらちらと、蓮歩のあとのここかしこ、夫人をしとうて散々なり。
* * * * *
あと白浪の寄せては返す、渚長く、身はただ、黄なる雲を蹈むかと、裳も空に浜辺を引かれて、どれだけ来たか、海の音のただ轟々と聞ゆるあたり。