Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
三十秒とそれはもたず、私は、かえって自分の空腹に気づいた。
私はわざと手前勝手にふるまうのをよしとする性質だが、へんに他人というものに弱くて、こまめな世話やきや、お節介やに溺れやすい。それまで一時間ちかく線香の番をつとめてその部屋に坐っていて、私はでも、ついに真理子の母に声をかけることができなかった。なにか話しかけて気をやすませてやりたい、慰めてあげたいとは考えてみるのだ。しかしその都度、そっとしておいた方がむしろよいのだという気になってしまう。私は言葉をかけるのを断念した。有害であろうよりは、せめて無益であることを心がけるのが私の態度なのだ。
「お線香の番を、おねがいいたします」といって私は立ち上った。真理子の母はよれよれのハンカチに顔を埋めたままうなずき、祭壇ににじり寄った。終始、彼女はなにもいわず、なにも喰べなかった。
はなれの部屋の中で、保井進は佐藤と向かいあって椅子に坐っていた。机に半分ほど減ったウイスキィ壜があり、二人は腕組みをしていた。私は、二人のあいだになにか重大な話のあったことをかんじた。佐藤は赤ぐろい怒ったような顔をしていた。酔いの顔に出ない進は、なみなみと注がれた机のウイスキィグラスをみつめていた。