Classici giapponesi con furigana
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あいけいでん
愛卿伝
田中 貢太郎
Leggi 愛卿伝 (あいけいでん) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6745 caratteri · 14 schermate
そのうちに半年ばかりになったが、母親の病気はひどくなって、もう愛卿の勧める薬を自分の手で飲むことすらできないようになった。愛卿は枕頭に坐って、死に面している老婆の顔を見て泣いていた。と、麻殻のような痩せた冷たい手がその手にかかった。
「もう私はだめだ、あんたにひどく厄介をかけたが、その返しをすることもできない、このうえ、私の望みは、早くあの子が旅から帰ってくれて、あんたとの間に、児ができ、孫ができて、その児や孫達に、あんたが私にしてくれたように、あんたに孝行をさしたい、もし、天がこのことを見ていらっしゃるなら、きっとそうしてくだされる」
母親はそれをやっと言ってから、呼吸が絶えてしまった。愛卿はその死骸に取り著いて泣いていた。
愛卿はその母親の死骸を白苧村に葬ったが、心から母親の死を悲しんでいる彼女は、その悲しみのために健康を害して、げっそり体が痩せて見えた。
それは元の至正十七年のことであった。その前年、張士誠が平江を陥れたので、江浙左丞相達織帖睦邇が苗軍の軍師楊完という者に檄を伝えて、江浙の参政の職を授け、それを嘉興で拒がそうとしたところが、規律のない苗軍は掠奪を肆にした。