Classici giapponesi con furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Leggi 我が家の楽園 (わがやのらくえん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 90.195 caratteri · 175 schermate
こんな大きな屋敷では、日本人は借りきらんでしょうから、そんなぐあいにして、ここで気楽にやられたらどうです」
「せっかくだが、この家は、二度と戦勝国民に貸す気はない。そういう相談なら、ご無用にねがいたい」
「石田さん、あんた、えらい反米思想やね。この家にアメリカ人が住むのが、そんなに気に入らんですか。あんた、ええとこあるよ……よけいなことを聞くようだが、この家、どうする気です? 五人の家族で住むには、すこし広すぎる思うがね」
「補償問題がすんだら、こんな家は、さらりと売ってしまう」
清水氏が笑いながらいった。
「失礼ですが、この家は売れません。売ったら詐欺です」
「聞き捨てにならんことをいう。この家を売れば、どうして詐欺になるんだ」
「ご存じないんだ……失礼ですが、この建物は、住宅並みの値段をつけられるような代物ではありませんな。せいぜい古材にして、銭湯の焚代になるくらいが落です。石田さん、この家は白蟻の巣ですよ。床束からあがって、柱と胴差の内部を空洞にして、天井裏まで行っています……御所造りのほうは明暦元年で、かれこれ二百年、むこうの洋館は、明治十年で、これも七十年……なにしろ、出来が古いから無理もない。