Classici giapponesi con furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Leggi 我が家の楽園 (わがやのらくえん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 90.195 caratteri · 175 schermate
「御座った頭にはかなわない」
などと、つぶやいていたが、それはこちらの認識不足で、千々子さまは、そうして見事に釣りだしに成功した。とても凡慮の及ぶところではなかった。
その日も、家裏のほうから、千々子さまの鼻唄がきこえていた。百々子が行って見ると、千々子さまは、いつかの日、シュラー氏からもらったという、内股のところに Forget me not(あたしを忘れないで)という横文字の刺繍のある、ご自慢の絹の半腿引を干物繩にかけ、ヤンマの飛ぶのを、漠然と眼で追いながら、世にいう低能声で、間伸びのした歌をうたっているようだったが、そのうちに、そろそろと地境のほうへ行って、垣根の破れ目からのぞいていたミドリさまの腕をつかんで、グイとこちらの地内へひきずりこんだ。
うるさく電話をかけておいて、急にやめると、相手は不審に耐えられなくなって、こちらの動静をさぐりにくるはずだ、という、ややこしい心理の計算は、一種、霊妙な感じで、はっとさせるが、よく考えてみると、やはり、どこか尋常でないところがある。
百々子の感慨などに関係なく、千々子さまとミドリさまは、ダンスでもしているような恰好で、うまいこと掴みあったまま、枸杞の垣根のそばから物干場のほうへ移ってきて、残忍ではないが、なにかむごたらしい、終りのないようなアナーキーな喧嘩