Classici giapponesi con furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Leggi 我が家の楽園 (わがやのらくえん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 90.195 caratteri · 175 schermate
しかしそれは、こちらでお払いする分と、相殺勘定になりますから、たいしたことには、なるまいと思います」
「飛んでもない……プールとテニス・コートは、取り壊して、もとの荒地にして返してもらうつもりだから、相殺もくそも、ありはしないのだ」
「おどろきましたな……あれを壊すとなると、取り片附けの費用は、国が負担することになりますが、あんなに立派にできているものを、壊してしまうのですか」
調査班の若いひとは呆気にとられ、スクリプトを抱えて引き退って行くと、待ちかねていたように、石田氏と賢夫人の間に、もんちゃくが起こった。
二人のかけあいの合間に、千々子さまが賢夫人の耳元で、ぼそぼそ囁きながら、なにか、しきりに嗾しかけている。いつにない石田氏の激昂ぶりに恐れをなした千々子さまが、賢夫人を突っついて、プールとテニス・コートを、そっとしておこうというのらしかった。
石田氏としても、むかしどおりの上段ノ間に復原できるとは思っていない。筋のとおらぬ横車を押しとおしたのは、調達局と訴訟でもすることになれば、その間、体面をそこなうことなく、バラックの楽園に居据っていられると思ったからにちがいない。