Classici giapponesi con furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Leggi 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.728 caratteri · 231 schermate
再びカーテンが引かれたが、用意していた私はこんどは驚かなかった。ツメタイ澄んだ大きくない一重瞼の眼のいろが、私の眼をくぐりぬけたとき彼女は含み声の、上唇で圧迫したような語調でいった。
「たかむらはいまるすでございます。」
「は、いつころおかえりでしょうか。」
女の眼はまたたきもせずに私を見たまま、答えた。
「わかりません。」
私は頭を下げると、カーテンがさっとハリガネの上を、吊り環をきしらせてまた走った。
再度目に訪ねたとき女は顔だけあらわしたが、私はその間際にまた来たという言葉を女の眼によみとって、すぐ、私は彼女の眼に抗議をもうし込むよう、ちょっとした気配を見せてやった、だが、それは受けとられなくて、「たかむらはただいま出かけて居ります。」と彼女はいい、私はやけになり、ああそう、こんな男が来たといって下さいと、私は自分の名前を告げたが、彼女は、正確な返事ではなく、あ、そう、ふんというふうにいって、カーテンをまたさっと引いた。
三度目に訪ねたのは一ヵ月後のある午前中であったが、ツメタイ眼は夫のほかの者を見るときに限られている、夫には忠実でほかの者にはくそくらえという眼付で、やはり追い払われた。