Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate
もうだいぶ酒の気のまわった倉地は、女の肉感をそそり立てるようなにおいを部屋じゅうにまき散らす葉巻をふかしながら、葉子を尻目にかけた。
「それは結構。だがおれにはさっきの話が喉につかえて残っとるて。胸くそが悪いぞ」
葉子はあきれたように倉地を見た。
「木村の事?」
「お前はおれの金を心まかせに使う気にはなれないんか」
「足りませんもの」
「足りなきゃなぜいわん」
「いわなくったって木村がよこすんだからいいじゃありませんか」
「ばか!」
倉地は右の肩を小山のようにそびやかして、上体を斜に構えながら葉子をにらみつけた。葉子はその目の前で海から出る夏の月のようにほほえんで見せた。
「木村は葉ちゃんに惚れとるんだよ」
「そして葉ちゃんはきらってるんですわね」
「冗談は措いてくれ。……おりゃ真剣でいっとるんだ。おれたちは木村に用はないはずだ。おれは用のないものは片っ端から捨てるのが立てまえだ。嬶だろうが子だろうが……見ろおれを……よく見ろ。お前はまだこのおれを疑っとるんだな。あとがまには木村をいつでもなおせるように食い残しをしとるんだな」
「そんな事はありませんわ」
「ではなんで手紙のやり取りなどしおるんだ」