Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate

Aozora Bunko

「早月葉でございます」

葉子は対等の態度で悪びれもせずこう受けた。

「絵島丸ではいろいろお世話様になってありがとう存じました。あのう……報正新報も拝見させていただきました。(夫人の顔色が葉子の言葉一つごとに変わるのを葉子は珍しいものでも見るようにまじまじとながめながら)たいそうおもしろうございました事。よくあんなにくわしく御通信になりましてねえ、お忙しくいらっしゃいましたろうに。……倉地さんもおりよくここに来合わせていらっしゃいますから……今ちょっと切符を買いに……お連れ申しましょうか」

田川夫人は見る見るまっさおになってしまっていた。折り返していうべき言葉に窮してしまって、拙くも、

「わたしはこんな所であなたとお話しするのは存じがけません。御用でしたら宅へおいでを願いましょう」

といいつつ今にも倉地がそこに現われて来るかとひたすらそれを怖れるふうだった。葉子はわざと夫人の言葉を取り違えたように、

「いゝえどういたしましてわたしこそ……ちょっとお待ちくださいすぐ倉地さんをお呼び申して参りますから」

そういってどんどん待合所を出てしまった。あとに残った田川夫人がその貴婦人たちの前でどんな顔をして当惑したか、それを葉子は目に見るように想像しながらいたずら者らしくほくそ笑んだ。