Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate

Aozora Bunko

二七

しかし万一倉地の言葉がその場のがれの勝手な造り事だったら……なぜ倉地は自分の妻や子供たちの事をいっては聞かせてくれないのだ。葉子はわけのわからない涙を泣くより術がなかった。葉子は突っ伏したままでさめざめと泣き出した。

戸外のあらしは気勢を加えて、物すさまじくふけて行く夜を荒れ狂った。

「おれのいうた事がわからんならまあ見とるがいいさ。おれはくどい事は好かんからな」

そういいながら倉地は自分を抑制しようとするようにしいて落ち着いて、葉巻を取り上げて煙草盆を引き寄せた。

葉子は心の中で自分の態度が倉地の気をまずくしているのをはらはらしながら思いやった。気をまずくするだけでもそれだけ倉地から離れそうなのがこの上なくつらかった。しかし自分で自分をどうする事もできなかった。

葉子はあらしの中にわれとわが身をさいなみながらさめざめと泣き続けた。

二七

「何をわたしは考えていたんだろう。どうかして心が狂ってしまったんだ。こんな事はついぞない事だのに」

葉子はその夜倉地と部屋を別にして床についた。倉地は階上に、葉子は階下に。絵島丸以来二人が離れて寝たのはその夜が始めてだった。