Classici giapponesi con furigana
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てがみ
手紙
Leggi 手紙 (てがみ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5390 caratteri · 11 schermate
僕は今この温泉宿に滞在しています。避暑する気もちもないではありません。しかしまだそのほかにゆっくり読んだり書いたりしたい気もちもあることは確かです。ここは旅行案内の広告によれば、神経衰弱に善いとか云うことです。そのせいか狂人も二人ばかりいます。一人は二十七八の女です。この女は何も口を利かずに手風琴ばかり弾いています。が、身なりはちゃんとしていますから、どこか相当な家の奥さんでしょう。のみならず二三度見かけたところではどこかちょっと混血児じみた、輪廓の正しい顔をしています。もう一人の狂人は赤あかと額の禿げ上った四十前後の男です。この男は確か左の腕に松葉の入れ墨をしているところを見ると、まだ狂人にならない前には何か意気な商売でもしていたものかも知れません。僕は勿論この男とは度たび風呂の中でも一しょになります。K君は(これはここに滞在しているある大学の学生です。)この男の入れ墨を指さし、いきなり「君の細君の名はお松さんだね」と言ったものです。するとこの男は湯に浸ったまま、子供のように赤い顔をしました。……
K君は僕よりも十も若い人です。おまけに同じ宿のM子さん親子とかなり懇意にしている人です。