Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ピッチャーさつじんじけん

投手殺人事件

坂口 安吾

Leggi 投手殺人事件 (ピッチャーさつじんじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.243 caratteri · 57 schermate

Aozora Bunko

「どんな姿。宿のドテラ」

「いえ、洋服どした」

「さては、カバンをぶらさげて!」

木介、カバンの執念、でかい声で、思わず、わめく。老婆はビックリして、

「いえ、カバンは置いてかはりましたんや。散歩どすよってなア」

「フーム。奇々怪々」

二人はガッカリして外へでた。

「まア、仕方がない。ひとつ、支局へ寄ってみようや」

支局へ立ち寄ると、夕方五時ごろ本社から金口宛ての電話があって、午後十時四十七分着急行で、暁葉子と岩矢天狗が京都へ着くはずだから、その時間に京都駅へ行ってみろ、と、指令してある。

ところが、彼らは失敗した。まッすぐ支局へ行けばよかったものを、新京極をブラついて、串カツで一杯ひっかけたりしたから、支局へ現れたのが、十一時五分だ。

アッと叫んだが、後の祭り。それでも、汽車がおくれて着くかも知れないと、哀れな神だのみ、出かけようとすると、

「そう、そう。あなた方の代りに、別の迎えが行ってますよ」

「誰が?」

「ちょうど、五時半ごろでしたかネ。上野光子女史が現れて、大鹿と懇談したけれど、本社が金を出し渋るから、契約がまとまらない、と云うのですね。クサリきっていましたよ。