Classici giapponesi con furigana
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おしかけにょうぼう
押しかけ女房
伊藤 永之介
Leggi 押しかけ女房 (おしかけにょうぼう) di 伊藤 永之介 (いとうえいのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.073 caratteri · 22 schermate
一
うす穢い兵隊服にズダ袋一つ背負つた恰好の佐太郎が、そこの丘の鼻を廻れば、もう生家が見えるという一本松の田圃路まで来たとき、フト足をとめた。
いち早くただ一人、そこの田圃で代掻をしてる男が、どうも幼な友達の秀治らしかつたからである。
頭の上に来かかつているお日様のもと、馬鍬を中にして馬と人が、泥田のなかをわき目もふらずどう/\めぐりしているのを見ていると、佐太郎はふと、ニユーギニヤに渡る前、中支は蕪湖のほとりで舐めた雨季の膝を没する泥路の行軍の苦労を思い出した。
過労で眼を赤くした馬の腹から胸は、自分がビシヤ/\はね飛ばす泥が白く乾いていた。ガバ/\と音立てて進む馬鍬のあとに、両側から流れ寄つて来る※(「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68)みたいな泥の海に掻き残された大きな土塊の島が浮ぶ。馬が近ずくと一旦パツと飛び立つた桜鳥が、直ぐまたその土塊の島に降りて、虫をあさる。
また馬が廻つて来て、桜鳥は飛び立つ。そのあとを、馬鍬にとりついて行く男の上半身シヤツ一枚の蟷螂みたいな痩せぎすな恰好はたしかに秀治にちがいなかつた。
「おー、よく稼ぐな」