Classici giapponesi con furigana
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さしえとたたかったはなし
挿絵と闘った話
夢野 久作
Leggi 挿絵と闘った話 (さしえとたたかったはなし) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1311 caratteri · 3 schermate
もっとも、ほかの知らない人からコンナ目に遭わされたのでしたら、ただ矢鱈に口惜しいばかりだったかも知れませぬが、相手が青柳君だったもんですから、座角力に負けた位の気持ちにしかならなかったものでしょう。むろんモウ一度、どこかで取り組んで眼に物見せてやりたいとは思っておりますが……。
青柳君の芸術は貪慾の深い芸術です。これが同君の持って生れた因果かも知れませぬが、同君の挿絵を一眼見たらわかるでしょう。一見飄逸なような、わがままなような、投げ遣りなような構想と筆致の中に、一筆一点でも他人に指させまいとする緊張味が籠っております。内外の古典、写実……純正、立体、超現実に致るまでのあらゆる風派の味と力が用意、不用意の中に取り入れられております。
それだけでも同君の味覚と、歯力と、消化力が、いかに素晴らしいものがあるかがわかると同時に同君が一切の事象と、如何に真剣に取り組んでいるかがわかるでしょう。しかも、その中に閃めき、にじみ、ほのめいて全体を蔽い、引き締めている同君独特の持ち味に到っては、今から既に(敢えてそう云います)鬱然たる大樹の萌芽をあらわしているばかりでなく、その画風の健康さ、境界の深大さが、一つの目に見えぬ力となって画面に盛り上り、跳ねかえっているのがアリアリと看取されるのであります。