Classici giapponesi con furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Leggi 播州平野 (ばんしゅうへいや) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.683 caratteri · 214 schermate
何とかなるものなのだろう。つや子が、嫁入りのときこしらえて来た衣類、直次の着ていたもの、子供らのための用意、それを濡すまいとする心理は皆にとっても自然なのだろう。
箱をあげはじめて十分も経ったとき、益々水嵩がまして来て、階下は大騒動になった。
「それ! おごうはん、お上りませ、こけよりますで!」
水の中へ倒れたガラスのこわれる音がした。タバコの空棚が浮き出して、ひっくりかえった。
「どうなろうかいの!」
怒って絶望した母の声がした。こちらで箪笥が浮き出した。
階段の上り端にさし出した裸ローソクの揺れる光が、つい目の下まで来ている水面を照らし出した。
「ハアここまでついちょる!」
濡れた裸体を照らされながら、沢田の主人が、血相のかわった眼元でひろ子を見上げた。その股のつけ根までが水の中にあった。
水に追いあげられる鼠のように、次々と二人の男たちも二階へあがって来た。
「こりゃ早う避難せまあじゃ、家がこけよる」
「そんなこともなかろうけれど……」
上から何か大きいものが流れて来たら、この家はもつまい。土台がいかにもわるい作りであるから。
二人の子のねている布団の裾を濡れた土足のままふんで、七人の男女がまちまちの背たけでそこにつったった。