Classici giapponesi con furigana
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しなまいのふくろ
支那米の袋
夢野 久作
Leggi 支那米の袋 (しなまいのふくろ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.357 caratteri · 50 schermate
……その時にその黒ん坊が恨めしそうな、もの凄い眼付きで妾たちをふり返った顔を、袋の中でハッキリと思い出したんですもの……怖いにも何にも、妾は生きた空がなくなって、もうすこしで気絶しそうになった位よ。今にもゲーッと吐きそうになってね。そうするとその黒ん坊は、
「どうしても無いんだナア……可笑しいナア……」
って云いながらマッチを擦って煙草を吸い付け吸い付け出て行きそうに歩き出したの。……そん時の嬉しかったこと……妾は思わず手の甲に爪が喰い入る程力を籠めてイーコン様を拝んじゃったわ。
……だけど矢っ張り駄目だったの……階段の方へノロノロと歩いて行った黒ん坊は間もなく奇妙な声を立てながらバッタリと立ち止まったの。
「イヨーッ。あんな処に隠れてら。フヘ、フヒ、フホ、フム……畜生畜生」
と云うなり、ツカツカと近づいて来て、妾の袋へシッカリと抱き付いちゃったの。それと一緒に黄臭い煙草のにおいと、何ともいえない黒ん坊のアノ甘ったるい体臭とがムウーと袋の中へ流れ込んで来たようなの。
妾、その時に、どんな風に暴れまわったか、ちっとも記憶えていないのよ。……ただ、ちっとも声を立てなかった事を記憶えているだけよ。