Classici giapponesi con furigana
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ぶんげいとどうとく
文芸と道徳
Leggi 文芸と道徳 (ぶんげいとどうとく) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.678 caratteri · 32 schermate
すなわち昔の人には批判的精神が乏しかった。昔から云い伝えている孝子とか貞女とか称するものが、そっくりそのままの姿で再現できるという信念が強くて、批判的にこれらの模範を視る精神に乏しかったと云うのがおもなる原因でありましょう。一口に云えば科学と云うものがあまり開けなかったからと云ってようございます。のみならずその当時は交通が非常に不便でありまして、東京から大阪へちょっと手紙一本で呼出されて来て講演をすると云うようなことすら、できないとは限りませんが、なかなか億劫でこう手軽には行きません。来るにしても駕籠に揺られて五十三次を順々に越すのだから、たやすくは間に合いかねます。間に合わないですむとすれば、私がどんな人間であるかは、諸君に知れずにすんでしまう訳である。知られなければよほどえらい人だと思ってくれやしないかと思う。こうやって演壇に立って、フロックコートも着ず、妙な神戸辺の商館の手代が着るような背広などを着てひょこひょこしていては安っぽくていけない。ウンあんな奴かという気が起るにきまっている。が駕籠の時代ならそうまで器量を下げずにすんだかも知れない。