Classici giapponesi con furigana
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
Leggi 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 72.671 caratteri · 149 schermate
ただ小さくなって、そのうしろ影を見送っていたのですが、お初の様子がどうも唯でない。気のせいか、子分たちの眼色もなんとなく怖いように見えたので、六三郎はますます不安心になって来たのです。ひょっとすると、自分との一件が露顕したのではあるまいか。お初はこれから親分のところへ引き摺って行かれるのではあるまいか。
こう思うと、六三郎は急に怖くなって、一生懸命に自分の宿へ逃げて帰りました。
日が暮れて、楽屋入りの時刻が来たので、六三郎は一座の役者達と一緒に芝居小屋へ行きました。今夜の狂言は「菅原」と「伊勢音頭」で、六三郎は八重とおこんとを勤めたのですが、いつもよりも鬘の重い頭はなんだかぼんやりしていて、舞台もろくろくに身にしみませんでした。田舎の芝居は閉場が遅いので、自分の役をすまして宿へ帰ったのは夜の九つ過ぎ、今の十二時過ぎでしたろう。帰ると、宿の店口には大きな男が三人ばかり、たばこをのんで待っていました。六三郎の顔を見ると、いずれもばらばらと寄って来て、「おい、気の毒だがちょいとそこまで来てくれ。」と言う。そのゆく先きは大抵判っています。昼間のことを思い合わして、六三郎ははっと立ち竦んでしまいましたが、いまさら否の応のといったところで仕方がありません。