Classici giapponesi con furigana
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
Leggi 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 72.671 caratteri · 149 schermate
さて、かの六三郎はこれを見てどうするか、その出ようによってその本心を探る術もあると、吉五郎はひそかにうかがっていると、年の若い、気の弱い六三郎はその試験にすっかり落第してしまいました。
「お前はこの女を知っているか。」と訊かれたときに、六三郎は「知らない。」と答えました。この一言で、こりゃあ駄目だと吉五郎に見限られました。死んだ振りをしていたお初も、あんまりな人だと大層くやしがったそうです。六三郎が帰ったあとで、お初は吉五郎の前に手をついて、あらためて自分の不埒を詫びた上に、あんな奴のことはふっつり思い切りますから、どうぞこれまで通りにお世話を願いますと、心から涙をこぼして頼んだそうです。
可哀そうなのは六三郎です。自分の思う女に見限られたばかりか、それが根となって病いは重るばかりで、みんなと一緒に信州まではともかくも乗り込んだものの、とても舞台の人にはなれそうもないので、旅さきから一座の人々に引き別れて、ほとんど骨と皮ばかりの哀れな姿で、故郷の江戸へ帰って来ました。六三郎の家は深川の寺町にありました。それからどっと床について、あけて十七の春、松の内にとうとう死んでしまいました。