Classici giapponesi con furigana
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しゃこう
斜坑
夢野 久作
Leggi 斜坑 (しゃこう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.977 caratteri · 39 schermate
そうしてその中に封じ籠められている福太郎は、自分自身がさながらに生きた彫刻か木乃伊にでもなったような気持で、何等の感情も神経も動かし得ないまま、いつまでもいつまでも眼を瞠り、顎を固ばらせているばかりであった。
ところがそうした福太郎の眼の前の、死んだような空間が、次第に黄色く明るくなったり、又青白く、薄暗くなったりしつつ、無限の時空をヒッソリと押し流して行ったと思う頃、一方の車輪を空に浮かした右手の炭車の下から、何やら黒い陰影が二つばかりモゾリモゾリと動き出して来るのが見えた。そうしてそれがやがて蟹のように醜い、シャチコ張った人間の両手に見えて来ると、その次にはその両手の間から塵埃だらけになった五分刈の頭が、黒い太陽のように静かにゆるぎ現われて来るのであった。
その両手と頭は、炭車の下で静かに左右に移動しながら、一生懸命に藻掻いているようであった。そうしてようようの事で青い筋の這入った軍隊のシャツの袖口と※サの印を入れた半纏の背中が半分ばかり現われると、そのままソロソロと伸び上るようにして反り返りながら、半分土に埋もれた福太郎の鼻の先に顔をさし付けたのであった。