Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゃよう

斜陽

太宰 治

Leggi 斜陽 (しゃよう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.822 caratteri · 176 schermate

Aozora Bunko

とからかうような口調でおっしゃったが、その態度には、どこやらデカダンと紙一重のなまめかしさがあった。

やがて十月になったが、からりとした秋晴れの空にはならず、梅雨時のような、じめじめして蒸し暑い日が続いた。そうして、お母さまのお熱は、やはり毎日夕方になると、三十八度と九度のあいだを上下した。

そうして或る朝、おそろしいものを私は見た。お母さまのお手が、むくんでいるのだ。朝ごはんが一ばんおいしいと言っていらしたお母さまも、このごろは、お床に坐って、ほんの少し、おかゆを軽く一碗、おかずも匂いの強いものは駄目で、その日は、松茸のお清汁をさし上げたのに、やっぱり、松茸の香さえおいやになっていらっしゃる様子で、お椀をお口元まで持って行って、それきりまたそっとお膳の上におかえしになって、その時、私は、お母さまの手を見て、びっくりした。右の手がふくらんで、まあるくなっていたのだ。

「お母さま! 手、なんともないの?」

お顔さえ少し蒼く、むくんでいるように見えた。

「なんでもないの。これくらい、なんでもないの」

「いつから、腫れたの?」

お母さまは、まぶしそうなお顔をなさって、黙っていらした。