Classici giapponesi con furigana
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しゃよう
斜陽
Leggi 斜陽 (しゃよう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.822 caratteri · 176 schermate
けれども、お母さまのこないだの御病気は、あれこそ本当に心配な、哀しい御病気だった。だのに、お母さまは、私の事ばかり心配していらっしゃる。
「あ」
と私が言った。
「なに?」
とこんどは、お母さまのほうでたずねる。
顔を見合せ、何か、すっかりわかり合ったものを感じて、うふふと私が笑うと、お母さまも、にっこりお笑いになった。
何か、たまらない恥ずかしい思いに襲われた時に、あの奇妙な、あ、という幽かな叫び声が出るものなのだ。私の胸に、いま出し抜けにふうっと、六年前の私の離婚の時の事が色あざやかに思い浮んで来て、たまらなくなり、思わず、あ、と言ってしまったのだが、お母さまの場合は、どうなのだろう。まさかお母さまに、私のような恥ずかしい過去があるわけは無し、いや、それとも、何か。
「お母さまも、さっき、何かお思い出しになったのでしょう? どんな事?」
「忘れたわ」
「私の事?」
「いいえ」
「直治の事?」
「そう」
と言いかけて、首をかしげ、
「かも知れないわ」
とおっしゃった。
弟の直治は大学の中途で召集され、南方の島へ行ったのだが、消息が絶えてしまって、終戦になっても行先が不明で、お母さまは、もう直治には逢えないと覚悟している、とおっしゃっているけれども、私は、そんな、「覚悟」