Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きられたさに

斬られたさに

夢野 久作

Leggi 斬られたさに (きられたさに) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.352 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

小娘は無邪気にうなずいた。

「フーム。どんな奥方様か……」

小娘はちょっと眼を丸くした。

「旦那様は御存じないので……」

「……ウムム……」

平馬は行き詰まった。知っていると云って良いか悪いか見当が付かなくなったので……。

「……あの……黒い塗駕籠の中に紫色の被布を召して、水晶のお珠数を巻いた手であの花をお渡しになりました。挟箱持った人と、怖い顔のお侍様が一人お供しておりました」

「ウーム。不思議だ。わからぬな……」

「ホホホホホホホ……」

小娘は声を立てて笑った。冗談と思ったらしかった。

「旦那様は鯉のお刺身と木の芽田楽が大層お好きと、その御方が仰言りました。それで兄さんが大急ぎで作りました」

平馬はモウ一度膳部を見廻したが、思わず赤面させられた。小田原で酔うた紛れに美味い美味いと云って、無暗に頬張った事を思い出させられたので……しかし……その中にフト青い顔になると、急に盃を置いて、小娘の顔を見た。

「……ちょっと主人を呼んでくれい」

「ハイ……」

と云ううちに小娘は燗瓶を置いて立上った。ビックリしたらしくバタバタと出て行った。

「……これはこれは……まだ御機嫌も伺いませいで……亭主の佐五郎奴で御座りまする。