Classici giapponesi con furigana
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きられたさに
斬られたさに
夢野 久作
Leggi 斬られたさに (きられたさに) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.352 caratteri · 41 schermate
思いもかけぬ敏捷さで二三足横に飛んだと思うと、松の蔭から出て来た平馬にバッタリ行き当った。
「……アッ……」
と叫んだ若侍が刀の柄に手をかけたが、その利腕を掴んだ平馬は、無言のまま背後に押廻わした。二人の浪人と真正面に向い合った。
「……何者ッ……」
「邪魔しおるかッ」
「名を名宣れッ」
という殺気立った言葉が、身構えた二人の口から迸った。
「ハハ。名宣る程の用向きではないが……」
平馬は落付いて笠を脱いだ。若侍も平馬を味方と気付いたらしい。背後で踏み止まって身構えた。
「委細は聞いた。貴公達が肥後の御仁という事もわかったが、しかし大藩の武士にも似合わぬ見苦しい事をなさるのう……」
「何が見苦しい」
「要らざる事に差出て後悔すな」
「ハハ。それは貴公方に云う事じゃ。関所の役人は幕府方と心得るが、貴公方はいつ、徳川の手先になった」
二人はちょっと云い籠められた形になったが、間もなく平馬が、まだ青二才である事に気が付いたらしい。心持ち引いていた片足を二人ともジリジリと立て直して来た。
「フフフ。武士たる者が松原稼ぎをするとは何事か。両刀を手挟んでいるだけに、非人乞食よりも見苦しいぞ」