Classici giapponesi con furigana
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だんきょうきぶん
断橋奇聞
田中 貢太郎
Leggi 断橋奇聞 (だんきょうきぶん) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.144 caratteri · 25 schermate
彼はそうして眼を開けた。月の光のほのかに射した狭い箱のようなものの中に、寝かされている自分に気が注いた。彼は体の痛みをこらえて自分とぴったり並んでいるものを見た。それは若い女であった。箱の上のほうには樹木の枝の動いているのが見えた。
そこはどうしても野の中である。世高はそこで自分が樹から墜ちたことを思いだした。女の顔は秀英であった。彼は自分が仮死したため、女も自分の後を追ったので、二人いっしょに葬られたのではないかと思いだした。彼は苦しい体を起して立った。それは確かに墓畔で自分たちは棺の中へ入れられているところであった。葢の除れているのは不思議であったが。
世高は不思議に蘇生したことはうれしかったが、秀英が死んでいることを思うと生きているのが苦しかった。彼は蹲んで秀英の体を抱きあげてその顔を覗きこんだ。彼はそうしてその死因をたしかめようとした。その秀英の鼻孔のあたりに微かな気息があるように感じられた。世高は耳のふちに口をつけてその名を呼んだ。
女はやっと眼を見ひらいた。秀英は蘇生したのであった。二人は手を取りあって泣いた。
世高と秀英の二人は機の熟するまで迹をくらますことにした。