Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.841 caratteri · 376 schermate
「やりおるぞ」
信玄は馬上から左のほうを振り向いて前後の旗本たちにいった。
「オオ。なにさま」
人々も眼を凝らした。
はるかに黄色い土けむりが立ち始めていた。抑えに残してきた一部隊が、敵から小勢と見くびられて、やにわに猛襲をうけているらしい。
「あ……。つつまれたな」
「あの小勢だ。つつまれたら一たまりもあるまい」
「二、三千ほど、駈けつけてやらいでは」
長途の馬は首をさげて、歩足ものたのたと行くほうへ歩いている――だが諸将はみな、彼方の埃の下を思いやって、手綱の手もかたく握りしめられ、気が気ではないような眼ざしをそろえていた。
「…………」
信玄は、黙々として、誰にも答えを与えない。
みすみすこうしている間にも、彼方の土つむじの下では、もう味方の幾人かが、覚悟のまえとはいえ、将棋倒しに討たれているのである。
某の子も、某の親も、某の兄弟たちも、そこの部隊には混じっているのだ。信玄のまわりにいる旗本や諸大将ばかりではない。長い行軍の列のすべてが――足軽のはしまでがみな横を向いていた。眼を彼方へ凝らしながら行軍していた。
――と、その列に沿って、大物見の小山田信茂が、信玄のそばへ駈けて行った。