Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.841 caratteri · 376 schermate

Aozora Bunko

主なる部将は心得ていたろうが、城兵のあらかたは高木九助が喧伝した「信玄の首」を信じて、ここへ襲せてくるものは、首将を失った敵の敗残軍にすぎないと考えているらしい。

「ひさ野、つかれた。わしも酒を一盞まいろう。ひとつ酌いでくれい」

家康は、最前の広間へもどって、一杯の冷酒をのみほすと、そのまま身を横たえて、侍女のかける衾をひき被ぐなり、いびきをかいて眠ってしまった。

それから間もなく。

殺到して、濠のまぢかまで、まっ黒に襲せて来たのは、甲軍の馬場美濃守の隊、山県昌景の隊など、気負い立った精鋭だった。

――が、美濃守も昌景も、浜松の城門を真ん前に見ると、

「や、や? ……。待てッ」

にわかに駒足を抑え、逸りきった味方の奔勢を、全軍にわたって制止した。

「美濃どの。どう思う」

山県昌景は、彼のそばへ馬を寄せて行きながら訊ねた。いかにも解けない謎につき当ったようにである。

「……?」

美濃守も、凝然と、かぶとの眉廂から、敵方の城門を見つめたままであった。

その面も遠くから焦かんばかりに、城門の内外には、篝火がどかどか燃えさかっている。そしてそこの鉄扉は八文字に開け放たれてあるではないか。