Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.841 caratteri · 376 schermate
二条の第は、一押しに踏みつぶされた。館中の旧臣は、あらかた降伏した。日野、高岡の二卿も出て、信長に詫びを入れた。
ひとり三淵大和守は、子飼の郎党六十余人と共に、最後まで屈せずに戦った。ひとりも逃げず、ひとりも降伏せず、彼以下の六十余体は、武士の華となって、きれいに枕をならべて討死した。
腐敗しきった数百年の濠水の底にも、なお一脈の真清水は涸れていなかった。
義昭は京都を落ちて、宇治の槙島へたて籠ったが、もとより無謀、それに敗残の寡兵である。やがて信長の追撃が、平等院の川下、川上から押しわたると、一支えもなく、捕捉されてしまった。
「床几をさしあげい」
捕われて来た義昭のすがたを見て、信長は左右の将に云った。
うつ向いたまま、義昭が、与えられた床几へ力なく腰かけると、
「みな幕外に退れ」
ただふたりとなって、容を正し、正視して義昭に云った。
「お忘れはあるまいが、かつてあなた様は、この信長を父とも思うと、仰っしゃったことがある。――二条の新館にすわられて、ひとたびは瓦滅した室町御所を、からくも再興なされた欣びの日であった」
「…………」
「お覚えか」
「岐阜どの、忘れはせん、なんであの時のことを。