Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.841 caratteri · 376 schermate
「御母堂さまのお目にとまるのじゃ。お母堂さまのおなぐさみじゃ」
とばかり、辻々に花車屋台を押し出し、濠ばたには踊りの輪を幾つも作って、城門がそこに見えながら、城門のうちに入るまでには、半刻もかかったほどであった。
母と妻を伴って、北曲輪の一廓に新たに造った住居を秀吉は見せてあるいた。そこはうしろに伊吹連峰をのぞみ、前に大湖の春と四明ヶ嶽を見はらし、庭園の泉石には花木珍石を配し、どこと一点のいうところもない殿造りだった。
けれど、老母は、ふとさびしげに、秀吉を顧みて云った。
「畑がないのう。……ここの御本丸には、わしが菜や豆など作る畑地がないの」
秀吉は母の顔を見ているきりで頷きもしなかった。頷けば眼のなかの涙がこぼれ落ちそうだったからである。
また寧子は。
同じ本丸ながら遠いむこうの一廓に、べつな女性の住むらしい一屋根がなおあることを後に気づいていた。そして岐阜城へ立ち寄ったとき、主君信長がそれとなく云ったことばを思い出して、みずから深く戒めていた。