Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.841 caratteri · 376 schermate
「湖南の東風、鞍上の揺られごこち、何とも堪りません。――思わずうとうといたしました」
「やはり居眠っていたのか、さてさて、そちらしくもない」
「面目ない態をお眼にかけました」
「いや、それをいうのではないよ。御身は、われらのような武骨一片とちがい、わが麾下ではただ一人の風流子ではないか。風流を解すその方が、このたまたまな好日を、詩もなく歌もなく、黙々、俯向いてばかり行くのはどういうものか。――ひとつ吟懐でも聞かせんか」
「おそれ入りました。なおさらもって、面目ない次第ですが、歌もありません」
「ないか。……ハハハハ」
「ただ睡とうございます。おゆるしください」
「居ねむりを許せとか。むりもなかろう。昨夜も旅舎で深更まで皆と話しこんでしもうたからな。実をいえば、この方も睡たいのだ。久々で洲股に立ち帰り、母上やら寧子やら弟どもにかこまれて、滞留二日のあいだ、ひと夜は語らい明かし、ひと夜は双六のお相手でまたねむれず――すっかり寝不足がたまってしもうた」
と、他の家臣たちをも見まわしながら、からからと笑い出して、
「いや、よい正月、よい正月。……どの顔もみな睡そうな」
と、大声でいった。