Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate
その、今を。
彼はなお、頑然と、ここに生き残って、眸の光を、失っていなかった。
(何を望みに?)
(何の面目あって)
自分をつつむ世の嘲罵悪声を、彼は、知らないではなかった。身をめぐってキチキチ飛ぶ螽のように聞いていた。――けれど、涼風を懐中に容れながら聞いていれば、それも気にはさわらない。ひとつの風情と観ることもできる。
憂きことの
なほこの上につもれかし
かぎりある身の
力ためさん
自作の歌だ。数年まえに彼が述懐した歌である。いま、それを心の奥に口誦む。
(孤忠、かならず、つらぬき徹します)
幼少から自分を励ましてくれた母にちかい、旧主にちかい、また、天に誓って、苦戦の陣頭に臨んだとき、宙天の三日月へ合掌して、こう誓言をたてた青年の発足を、彼はいま、新たに胸へ呼び返していた。
==我ニ百難ヲ与エ給エ!
乗りこえ乗りこえ、その百難をここまで踏みこえて来たのである。一難をのりこえては、一難をふり顧るときの生命の大きな呼吸。あの愉快極まる人生の快味を、鹿之介は、みずから名づけて、
(男児の本懐)
としていた。
(百難おのずから憂いなし!)
こうした人生からさらにすすんで、鹿之介は、その百難の中に、大きな歓喜すら味わって来た。