Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate
……そこでだ」
と、ふたたび勝吉へ、その眼を転じて、
「いま岡崎にお在す殿の許へ、わしの書状をもって、後詰の催促にまいってくれい。大任じゃぞ、勝吉。よいか、そちに命じる貞昌の心を酌めよ」
「……あ。お待ちください」
「何か」
「お断りします。――それにはこの城を出なければなりませんから」
「いやというのか」
「余人をおつかわし下さい」
「そうか。……城外の河には逆茂木をうちこみ、縄を張りめぐらし、鈴を結いつけ、岸には高く柵を結いまわしてある寄手の警備に恐れて、所詮、そちには突破できぬというのか」
「何をもって……」
勝吉は、苦笑して答えた。
「城中にいるも死、城外へ出るも死、ふた途はありますまい。私がお断りするわけは、自分、若年でこそありますが、守将たるあなたの一族です。もし無事に、濠をこえ渡り、敵の囲みをくぐって、使いを果したところで――そのあと、万一、お城が陥ちてしまったら、私はどこで死にましょう。ここは飽くまでそれがしの死所でござる。故に、城外へ出ることはできません」
すると、薄暗い隅のほうで、おうッ……嗚咽に似たような声をあげた者がある。貞昌の家来、鳥居強右衛門とよぶ軽輩であった。