Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate

Aozora Bunko

「この似絵を、於通はたれと思いましたか」

「禅尼さまの、お兄君でございましょう」

「まア、よく……」

と、尼はおもわずなつかしさを顔いッぱいに――

「その通りですの。して、そなたにそれがどうしてお分りかの」

「だって、武人の似絵は、どれを見ても、みんな強そうにか、でなければ、威権を誇示しているのが普通でございましょう。ところがこの似絵のお人は、甲冑もつけず、床几にかかって采配を持たず、衣冠束帯というのでもありません。……そこらの山の中にもいそうな、ただのおさむらいが、袖なし胴着に、ふだん穿きの袴をつけ、ちょこねんと、あぐらをくんでいるだけのお姿です。ただ違っているのは、書物をたくさんそばにおいて、読みかけのその一冊を、膝にひらいているところだけが、山家ざむらいにはないことです」

「それだけですぐこの尼の兄と覚れましたか」

「いえ。もっと、はっきりしていることは、武人にして武人らしくない面ざしです。蒲柳のお質というよりも、御病身であったでしょう。学問におふかく、叡智にあふれ、お若くして逝かれたお方のそれらしき御容貌が、この絵にもありあり出ているではございませんか」